2023.08.02 | 健康コラム
会話が与える印象
ホームから聞こえて来る「ガタン、ゴトン」の入線の音。
「電車から離れて下さい。」とか「到着の電車は○○行きです。次の到着駅は××です。□□駅には停まりません。お乗り間違いに気を付けて下さい。」
と言う駅員さんのアナウンスで電車が来たなと思います。
すると、お目当ての電車に何とかして乗ろうと、小走りで改札を通過しようとする。
すばやくポケットからSuicaやPASMO、スマホを抜いて、急いで自動改札のセンサーに宛がいます。
その時、いっしょにポケットに入っていた物が抜け落ちてしまうことがあります。
先日同じことが目の前で起こった。
私の前を急ぐ人のポケットから一枚の紙がポロっと落ちた。
それには「領収書」と書かれていました。
私はすぐさま拾い上げて、落とし主を追い掛けた。
そして「今、ポケットから落とされましたよ。」と言いながら手渡しました。
落とし主は、「えっ、何を落としたのだろう??」という様子で、まじまじと確かめていました。
すると思いもしない一言が返って来たのです。
「これ使わないから・・・。」
始めは何を言っているのか分からなかった。
彼と私の間で、一瞬沈黙の時が流れた。
「ああこれね。要らないから届けてもらわなくてもいいよ。」という、耳にしたくもない受け取りの拒否が聞こえそうな雰囲気が漂ったのです。
拾得物を落とし主に届けることが余計なことだったのだろうか・・・。
その後かろうじて、「けど、拾ってくれたことはどうも・・・。」と言い残し、ホームの階に下りて行った。
私は視線を下にしたまま言葉にならなかった。
何か変だと思いませんか!?
手に戻った落し物が必要か必要でないかは、届けた人にとってどうでもよいことです。
見知らぬ他人が自分のことを心配してくれたのですよ。
自分が落した物と分かれば、すぐさま「ありがとう。」の一言くらいはあっても良いはずです。
それが常識であり礼儀だと思う。
相手に対して、真っ先に伝えなければならないことがあるはずです。
場合によってはその咄嗟の応対によって、人の評価が分かれます。
ちょっとしたことでも人に与える印象は大きな差となる。
私自身にも言い聞かせていることですけど。
認知症が進行している高齢者に、貼ってはいけないレッテルがある。
思いもよらない会話の進展が、私を元気付けてくれたのです。
「あっ、忘れ物した!・・・えぇ~っと、何を忘れたのかね??」
「近所の人、誰か居るのかな?知らない人ばかりだと不安だなぁ。近所の人って誰だったっけ??」
「ムム。」と思ってしまうつぶやき。冷静に再考して答えなければならない場面もあります。
本コラムのロングバージョンはこちらから(SOily健康わくわくサイト)